11月

院長のつぶやき(17):111

 

<「歩幅」の表現を改めて>

 

おはようございます。消費税が10%となりました。増税しても、良い暮らしができるようになるといいのですが・・・

 

さて、表題の提案ですが皆さんは、「歩幅」と聞いてどのようなイメージを浮かべますか?

 

前に向かって歩いた時の“一歩の幅”でしょうか。これはすでに定着している言葉ですが、しかしここで考えてみてください。

 

“幅”とは―「横方向の広がりの度合い、物の横の長さ」と定義づけられています。「幅」がつく熟語は、「肩幅」、「足幅」「車幅」「道幅」等横の広がりを持つものに用いられています。

 

この定義からすると、「歩幅」の意味は、明らかにおかしくなります。なぜかと言えば、縦方向の長さを表しているからです。

 

私は、専門学校での授業で「縦の距離を歩幅というのはおかしい」という授業を受けて以来ズーと気になっていました。素直に考えれば、現在使われている「歩幅」は、「歩長」あるいは「歩距離」というべきところではないかと思います。

 

ただし、「歩長」というと既に使われている「歩調」と同音になり、紛らわしくなります。また、「歩距離」も歩く距離を感じさせて一歩の長さを表す表現としてはなじみません。

 

そこで、言葉を言い換える例として、筋肉の同じ長さでの収縮運動を「等尺性収縮」としました。本来「等長性収縮」と呼ぶべきところを、同じ筋力で収縮させる「等張性収縮」という用語があるため「等尺性収縮」と言い換えたわけです。

 

これと同様に、「歩幅」という表現を、本来一歩の距離である「歩長」を「歩尺」としたらどうでしょうか?また、皆さんは「尺取虫」という虫をご存じでしょうか?体を伸縮させて少しずつ前に進む虫です。前に進むことに“尺”という字を昔から使っています。

 

「歩幅」を「歩尺」とすれば少なくとも横の広がりの度合いとは言えなくなるのではないでしょうか。定着した言葉の定義を変えるには相当な努力がいるでしょうし、なかなか受け入れられないかもしれませんが、改めるべきことは改めるべきだと思います。

 

また、縦の距離を「幅」の字を使っているスポーツ界にも変更が必要だと思います。「立ち幅跳び」、「走り幅跳び」です。これも、単純に「立ち前跳び」、「走り前跳び」とすれば、「高跳び」や「横跳び」との整合性も図られると思います。

 

普段気になっていることをつぶやいてみましたが、どこでどのように決められているかわかりませんが、ぜひ検討してほしい課題だと思います。