2020年12月
院長のつぶやき(30):12月1日
<「子宝」について考える>
おはようございます。今年もあと1ヶ月となりました。今年はひどい年でした。新型コロナウイルスで始まり新型コロナウイルスで終わりそうです。毎日2,000人規模の新規感染者が増え続けています。
ワクチンのメドが見えてきていますが、このまま冬を乗り切ることができるのでしょうか?我々一市民としては、「マスクと手洗い、消毒に三密回避」しかありませんが・・・。
さて今日は、「子宝」についてつぶやいてみたいと思います。
以前「孫」についてつぶやきましたが、今回は、「子」についてです。
私が約50年前の学生の頃、両親の結婚25周年(銀婚式)に当たり、記念文集を出すことになりました。表題を決める際、兄たちが相談して『七宝子』としました。それは、兄弟が7人いて、「子は宝」と言われていたので決めたそうです。非常にいい表題だと思っています。
日本には古来「子は宝」という意識が根付いていました。古くは万葉集に「銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」と歌われていました。
また、明治時代に日本を訪れた英国女性旅行家イザベラ・バード氏が、東北・蝦夷地方を旅行した際に著した「日本奥地紀行」には「日本人ほど子供を大切にする民族はいない」主旨のことを書いています。日本人は昔から「子を宝」として大事に育てていました。
しかし、今はどうでしょうか?
昔のように子供を5人も6人も生んで育てているわけではないのに、幼児虐待だの乳幼児を殺しただの悲惨なニュースが後を絶ちません。日本人の「子宝」の意識がなくなったのでしょうか?
一般的に宝と言えば大事にするでしょう。金銀宝石はもちろん、他人にはわからない自分だけの宝物も大事に仕舞ったり育てたりするのではないでしょうか。子は宝ではなくなったのでしょうか?
「子宝」については、私は次のように考えています。女性と男性では子供についての感情には差があると思っています。
母親となった女性は、妊娠、出産、授乳、育児を通して母性本能が発露され、「慈しみや」、「いとおしさ」の愛情がはぐくまれ、子供を大事にするという思いが高まります。
この結果、女性(母親)の方が「子宝」の意識が高いのではないかと思います。(私は男性ですから真偽のほどはわかりませんが・・・)
これに対し男性は、もちろん子供に対する愛情はありますが、女性ほど感情は強く出ないと思います。子供の将来を見据え、「立派な大人になってほしい」という気持ちや「宝石の原石」を見るような気持ちから大事な「宝」と感じます。将来のために大事に育てていかなければと考えます。
でも今は、このような考え方が少なくなってきているように思います。子供に対する愛情が希薄になり、自分のことしか考えない、自分のことで精一杯、子供のことまで考えられない大人が増えてきているのではないでしょうか?
愛情をもって子を育て、「子は宝」の考え方を後世に残していかなければ、日本の将来が心配です。やがて日本の未来を託す子供たちが大事に育っていかなければ、日本の未来はありません。
今ではほとんど死語となってしまった「子宝」について、改めて考えてほしいなと思います。